『眠れないあなたの布団にヴィヴィが入り込んできて、クリアなボイスで入眠に誘いながら添い寝してくれる』

 「出演」

・マスター

将来を見越して激務の日々。ヴィヴィとは同棲している。

 

・ヴィヴィ

メタグロスの少女。幼さと雑音の一切無い、透明感を同居させている声を持つ。

 

 マスター?
 深夜の一時ですよ、23時前にはお布団に入ったのではないのですか?

 

(パジャマ姿のヴィヴィが、ダイニングで本を読んでいた。彼女は読書時に限り、青のハーフリム眼鏡を着用する)
 
 疲れが取れないのですか、お、お疲れ様ですよマスター…………
 昨晩は寝息も立てずでしたが、疲労が重なっていたようなので、グッスリとは違った印象を持っておりました。
 疲労が溜まり過ぎて、寝付けないのでしょうか…………マスターは頑張りすぎです、わたしの為? …………うん、そう返ってくるのは分かってましたけど、身体を壊したらわたしは怒りますよ?

 

(わざとらしく頬を膨らますヴィヴィ。本を閉じてあなたと向き合っている)

 

 自分を優先してください、大黒柱なのですから…………わたしとマスターだけしか、住んでおりませんけど。

 

(ヴィヴィは深夜まで起きていて大丈夫なの? あなたは軽く突っ込むも何故か、胸を張ってドヤ顔される…………)

 

 わたしは平気なのです! 肌荒れもしません、鋼タイプなので!


 …………本当は、マスターの寝顔を見たら寝るのが日課になっているとは、口が裂けても言えません。


 だから起きていただけ…………です、早いところ眠ってくださらなければ、わたしも寝れません、それは困ります、ので。

 

(グイグイと二の腕を引っ張ってくる、あなたのベッドまで誘導されて、比較的強引に横にさせられる)

 

 わたしが添い寝…………してあげます。
 ふふふっ、我ながら天才的な発想です、マスターのお顔をずっと眺めていられます!
 …………何処を見ているんですか? いえっ、バレバレですけどね。
 まぁいいです、眠るまでは許してあげましょう…………空が明るくなったら、それなりの対応をさせていただきますけど、…………嘘ですよ、マスターが眠るまで、ですよ?

 

(眼鏡は外すヴィヴィ。これでは眠るどころではない、心拍数が上昇するばかり)

 

 えぇ、眼を瞑ってしまうのですか…………瞑らないと眠くならない? そっ、そうですけど…………折角のチャンスを台無しにするとは、マスターはそれでいいんですか?
 そうですか、もぉ、マスターったら…………♪

 

(自分の枕を持ってきていたヴィヴィだが、あなたの枕に頭を乗せてくる)

 

 よいしょ、失礼します。
 こんなに近いと、落ち着きませんか? 寝返りはお気になさらずどうぞ、んっ、マスタードキドキしてます…………えっ~~と、わたしも実は…………少しだけ。
 あっ、分かっていたんですね。…………肘に当たっているから? なるほど…………エッチです…………!

 

(言いつつも、密着感を強めてくるヴィヴィ。室内が真っ暗だから、思い切った行動を繰り返してくる)

 

 もう一度、眼を瞑ってみてください…………手、握りますね…………んっ、あ…………っ、すみません、一指し指、親指も…………荒れが酷いです。皮が剥けてますし、血豆が生々しくて…………もうっ! 今日のお仕事はお休みしてください! 指が動かなくなったらどうするんですかっ!?
 …………わたしが悲しみますよ、マスターはそれを望んでいるのですか…………?

 

(暗くて表情は窺えないが、自分の頑張りが裏目に出てしまったと、声がくぐもってきたヴィヴィに謝罪する)

 

 …………はい、そうしてください。帰って来ては寝るだけ、止めてくださいっ、眠れないのは当たり前ですね?

 

(ヴィヴィがそっと、両手を被せてくる。あまりにも柔らかい)

 

 痛くないですか? マスターが眠るまで撫でてあげましょう…………決して、わたしが触りたかっただけじゃないです…………スリスリスリ、スリスリスリスリ…………指、わたしと全然違って太い…………角張っていて、骨の構造から違います…………
 んっ、もっと、深く…………指と指の隙間を無くして…………こう、ですっ。

 

(それはラブ握りと呼ばれる物だった)

 

 ………………言わないでくださいっ、いっ、今のマスターにはこうした方がいいのですっ! 傷だらけの肌へと、ビタミンCに潤いに…………肌を修復する成分を送るのが手っ取り早いのです!
 本当ですよっ? 今考えたとかではありませんからねっ? 詮索は無粋です、大人しく受け取ってください。

 

(心なしか、ヴィヴィからアロマキャンドルに似た香りが漂ってくる)

 

 特に何も付けておりませんけど?
 不快ではないのでしたら、このままの距離で、いいですよね?
 自分では自分の体臭が、分かりにくいので…………そんな香りがするのですね、ふんふん…………♪ 良かった…………
 …………何も言ってません、マスターこそ…………クンクン、臭くはないですよ? 男性の香り…………ですっ、でもマスターだって絶対に分かる香り…………ですっ。

 

(匂いフェチ? と、あなたは耳元と思われる場所で呟いた)

 

 あまり調子に乗っていると、永遠のお暇を与えますよ。

 

(コメットパンチを振りかざすヴィヴィ)

 

 …………冗談です! 声がマジだった? うーん、半分くらいはでしょうか。
 やり直しです、眼を瞑ってください…………ナデナデ、マスターは頑張り屋さんです、でも自分の事をもっと大切にしてくださいね。マスターが倒れてしまったら、わたしも…………人ごとではありませんので…………
  
(透き通る声質なヴィヴィ、とっても優しく、身体を覆う不純物を1枚1枚、丁寧に取り除かれているようだ)

 

 少しずつ、マスターは眠くなっていきます…………ふふっ、子供を寝かしつける為に、絵本を読んで上げているみたいです。
 …………っ゙! わたしとマスターの子供…………!? 
 ああああああ、あのあのっ、そういうのは別の機会にお願いします…………わたしの眼まで冴えてしまいます…………
 もうっ、またやり直しです、変な事言うの禁止です。
 ………………すっごく、嬉しかったのですけど…………ナイショです。

 

(ヴィヴィは何も言わず、数十分の間両手を撫でてくれている)

 

 んっ、眼がトロンとしてきましたね。わたしには分かりますよ、暗視機能が働いていますからね、暗闇でもマスターのお顔はバッチリです♪ 
 あっ、わたしのは見なくてもいいですからね? ……………………えいっ、こうすればどうあっても、わたしの顔を見ることは出来ませんよ! ふふ~~ん♪

 

(横腹に抱きついてきたヴィヴィ、ふんにょりした感触、鋼なのに全身柔らかい)

 もぉ、許してあげますから…………わたしを抱き枕にしていいですからっ…………マスターは眠る事だけに意識を…………
 いえっ、何も考えなくていいです。
 ……………………キャッ、ん、う…………仕方ありません、これだけ近いのですから…………見てないし聞いてないし触られておりません…………枕にしていいと言ったのは、わたしからなので…………

 

(腕は腰に回され、両脚であなたの脚を挟んできた)

 

 はわ゙っ゙!? 
 驚き過ぎですよマスター? わたしまで…………ビクっとしちゃいました…………
 伸ばすよりも折り曲げた方がリラックスできますよ。
 …………筋肉の拘縮、なだらかになって来ましたか?
 動悸も弱くなって来ましたね、そのままポックリ…………は、ダメですよ、わたしが許可しませんっ。
 三月になりましたけど、冷え込む日は続いております。血行が滞ってしまっては大変です、毎日わたしを抱き枕にする…………良質な睡眠の為です、特別に許可致しましょう…………

 

(ヴィヴィは頭を撫ででくれる、暗闇だったが悪戯っ子のように、得意気な顔をしている)

 

 ふふん、先手を取らせていただきました♪ 何時も先に撫でられてしまいますので…………
 大人になったら褒められたり、甘えたり…………少なくなると知りました。
 …………だから、わたしに甘えてくれてもいいのです。恥ずかしがらないで、言い触らしたりはしませんから…………二人だけの秘密、わたしはマスターに甘えさせていただいてますので、恩返し…………です。

 

(段々と意識が…………クリアなソロボイスが、鈴の音のように浸透していく)

 

 んっ、ギュッ…………もっと、いいですからね? 
 マスターだけの低反発です、他の人はしちゃダメです、お好きなように扱って…………
 …………んやッ…………く、ッ゙~~~~!
 はぁ、許してあげます…………! マスターがいい夢を見れるならば…………

 

(ヴィヴィを触る力が弱まっている)

 

 ふぁ…………っ、ん。
 わたしも…………眠たくなって…………えへっ、マスターを抱き枕にしているからですね…………!
 結果が出ておりますので、マスターには毎晩…………わたしが添い寝をします、拒否権はありませんっ、疲れが取れようが、不眠が解消されようが…………です、再発防止になるんです、きっとそうなんですっ…………!

 

(ヴィヴィの言葉に相づちも打てなくなった)

 

 いいですよ、起きてからで。
 両手の力も、ふにゃぁぁって、あぁ、良かったぁ…………役立てている実感が湧いて…………
 ふやっ!? ニャ…………フ…………ッ、マスター…………んっ! あっ、あ…………

 

(最後にヴィヴィを抱き寄せてから、頬にキスをした)

 

 ……………………もうっ、キ…………ス、して逃げられてしまったみたいになって…………お返し、ですっ、………………んっ、おやすみなさい、わたしのマスター…………チュッ、ふ、…………んふふっ♪ もう一回しちゃいます、んっ、んっ…………もう一回…………ちゅぅ、ちゅ、ちゅっ…………んはっ、ハーーハーー…………彼が起きていたらとてもとても…………出来ませんので。今の内にですっ…………
 夢の中でも一緒だったら…………わたしはマスターと共に在りたいです、んぅ…………♪ 朝になったらご飯、作ってあげますからね♪ 味だけなら自信付いてきたので♪
 安心しきった寝顔です…………嬉しい、んっ…………顔が見えなければ少しは素直になれる…………す、少しだけ、出来た気はします…………♪
 身体の中までポカポカ、ずっとマスターに触れていたいです…………肌も、香りも、……………………チュッ、味も、全部わたしは好きですからね…………

 

 ………………………………

 

(ヴィヴィも寝入ってしまった。規則正しい寝息の中に、1つの言葉が混じっている)

 

 マスター…………だいすき…………すぅ、すぅ…………だいすきです…………♪