コミュブレ、は～じまぁ～るよぉ～♪
一人称視点で書いてきます。
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『（小学）いっちね～んせ～いをすぎて～も♪ （中学）いっちねんせ～いになって～も♪ ともだちだぁれもいなかった♪』
私の名前は《春萌 刹華》 桜の花も恥じらう高校一年生。若さ弾け過ぎて他人との関わり合いをご存じで無い１６歳。友達は居ない。桜の花弁を模したヘアピンを左サイドに刺して、右側のみ鎖骨くらいまで届くアシンメトリーな髪型が特徴。良く美少女って言われるけど友達は居ない。密かな自慢はEカップの胸だけど、自慢出来る様な友達は居ない。
さっきのは私の持ち歌。たった今考えたばかりの自作品。著作権は私にあるからね？ カラオケで歌うなら使用量貰うから。
産まれも育ちも東京台東区、浅草の下町。浅草はイイところだよ、風神と雷神の像が建てられているのに、いつの間にか風神がハブられちゃっている雷門があるんだよ。そうやってボッチが増えていくのが日本なのかな、風門（ふうもん）とか作ってあげればいいのにね。
『青春を謳歌せよ』が校訓、校章は桜木と舞い散る花びら、ダブルボタンのブレザーとネクタイを組み合わせた制服が、特に女子群から好評となっている四月に入学した《咲耶姫高等学校（さくやびめこうとうがっこう）》は、偏差値が結構高いって情報サイトで見たことがある。入試試験は確かに難しかった気はするけど、私は勉強が得意――――本当は友達が居なくて遊んでいる時間を、勉強する時間にしていただけだから好きでもない――――なので、まぁ受かるだろうと確信はあった。この高校を選んだ理由は実家から一番近いから。歩いて五分。
私の実家は創業６０年の歴史を持っているらしい《カステラ屋 うららか》で結構人気がある。家族構成は私、お父さん、お母さん、趣味で駄菓子屋を経営しているおばあちゃん。スマホにはこの三人の番号しか登録されてない。
うららかは下町の端っこにあって...こんなトコでも窓際かよって、今気がついた、私はなるべくして追いやられているのかもしれない。前世で友達１００００００００人くらい居たから、産まれ変わった今の肉体では０人でバランスを取ってるつもりなのかな。そんな自重しなくていいのに。
...もう分かっていると思うけど私は、産まれてから１６年経過しても友達を作った経験が無い。作れた経験が無い。友達ってナニって？？って考えてたら、夜が明けていた修学旅行を思い出して鬱になる...当然班で行動していても、私は誰とも話せなかったし旅館でも五人一部屋なのに、実質４人＋オプションみたいな扱いで私だけ、ベランダ近くのふすまの向こう側で寝ていた。前述した通り寝れてなかったけど。
（高校に進学すれば勝手に友達が出来る。入学式終わるまではそんな淡い期待を抱いてました.....................）
一ヶ月経過して五月、やはり...友達なんて一人も出来てない。
ていうか、友達作りに奮闘するのは中２の途中で止めたんだった...それでも話しかけてくれないかなぁって、結局は諦め切れてないから未練はたっぷりだ。
前世でも友達０人だったのかもしれない。それか悪い魔女にカエルに変身じゃなくて、友達が居なくなる呪いを掛けられてしまったに違いない。それが現世でも継続しちゃっているんだろう。全部いい訳だけど。
コンビニで大好物の鈴カステラ（１０８円）を買うのが精一杯。店員さんとお金のやり取りをするだけで心拍数がレッドラインになって、血圧も１８０くらいになってると思う。ようするに命賭けに近い、一円玉を財布の中から見つけている時とか『釣りは取っとけ』って、１０００円札を置いていきたくなるくらい危険がヤバい。二回くらいそれしちゃった事あって、次に来た時に返して貰ってけど。
自分から友達作る努力をしてないのに、友達が出来る訳無い。
まず私の場合自己紹介で盛大なポカをやらかしたので、やり直せるチャンスを既に消費してしまった。残機０。
『はじ、はじゅめやぁしふぇｗｗｗ 噛んでしまヒュッヒュッｗｗw はもるしぇっかれふぁｗｗｗ』
あ、死にたい。自己紹介思い出したら常香炉に置かれた線香の煙を吸い込みまくって、一酸化炭素中毒になってしまいたいくらいに死にたさある......脳内リハーサルは寝ずに行った...それが原因だったのかも、絶対ゲット欲にくらんで眼が血走ってたらしいし。
「おはよー皆！ 昨日のドラマ見た～？」
「宿題でわからないところあるから教えて欲しいな...」
「恋人欲しいなぁ、合コン誰か開いてくれないかなぁ？」
チッ、登校早々にリア充共の耳障りな会話に横槍を入れたくなる...寧ろ私怨の槍を投げつけたい。威力６６６くらいあって皆串刺しだ。
友達が居るってそれだけで人生アドバンテージ。居ないわたしゃ偏差値高くても低レート。テレビの話題を共有出来た事は家族って前例しかない。ついでに言うと対戦ゲームは一人三か四役がデフォだ。
つーか合コンて何だよ！ 彼ぴっぴの前に友達欲しいわッ！！ 何処の牛の骨だかも知らん男と即会話なんて、私に出来る訳ないでしょ！ こいつらはそんなの楽勝とでも言いたげな顔してる！ 妬ましいわ！ 友達作るコツを教えて欲しいけど、自己紹介で大惨事になった私と話をする物は居ない。万が一話しかけられても「コポォｗｗｗ」くらいの返答しか出来ないでしょう。そしてまた引かれてしまう...と。家族以外との会話はずっとそんな感じ。
クラスの人数は２９名。女子のがちょこっと多いのは、咲耶姫が元は女子校で数年前から共学になったから。まだ男子が通うって浸透がされてないって理由がある。担任も校長も女性だし。
「................」
違う、水槽に飼われている海水魚も合わせたら３０か。ペット扱いだけど生徒扱いもされてるってどういうことなの...この高校大丈夫なの？《オオカミウオさん》が居るなんて面接では聞いてない～～！
オオカミウオ、知ってる人少なそうだけど東北やオホーツク海に生息してる、いかつさ満点で彫りの深すぎる形相と頑丈な顎と牙で貝も、カステラみたいにかみ砕けるスーパーパワーの持ち主。食用にされる事はあんまりない。付け焼きが美味いらしい...
人間に置き換えると年齢は５０代らしい彼...オオカミウオ"さん"までが名前だから、さん付けしないと水槽から飛び出して来て噛まれる。クラスの何人かが餌食になってる。本来なら人間の腕くらいもげてるけど、手加減してるらしくって歯形が付くだけに留まってる。貝どころかゴミじゃなきゃ何だって食料として食べるから、私も唐揚げを餌として上げた事もある。結構喜んでた...女子が口紅落としちゃってもそれ食べてたし、概念壊れる。ていうか空中浮遊できるって、もう水槽いらんでしょ！？ 極め付けに人語を話せて人語を理解しちゃうし、オオカミウオに化けているだけの別の生き物なのかもしれない。このクラスに来るまでは上野動物園に居たとか...物珍しさと魚類を超過した存在だから、名物キャラになって休み時間は列が出来てたりする。
（今日もお昼ご飯はクラスで一人か...オオカミウオさん入れると二人きりかぁ...他のクラスに行って机をくっつけてランチ...憧れるよね...ﾌﾌﾌｯ...）
お弁当のプチトマトにすらなれない私。ごま塩すら掛かってない白米、衣が取れたコロッケ、チンしたら溶け出したシリコン容器、魚の形した醤油入れ、そんな風に形容されてそう。つまりノーサンキュー。オオカミウオさんは友達じゃないけど話は聞いてくれるし...オオカミウオに話しかけてるって、端から見れば大分イッてるけど、相手も言葉喋れるから変じゃないハズ。人間じゃないから私も呼吸困難になったり奇声を上げたりはしてないし。
あ～～あ、如何にも勝ち組街道しちゃってますグループ、の中心部に居る紫髪の子《伊舎那 紫苑》さんくらいコミュ充になれたらなぁ。彼女の回りに居る子達はみ～んな楽しそう...場を盛り上げて空気の読める私と同じ１６歳なのに、なんだその罰ゲームみたいな丈のスカート！？ ゴム伸びきったパンツ履くより度胸ある短さは...膝上２５～３０くらい？ 痴女並のファッションはネクタイを両端から垂らしている、そう、帰宅したサラリーマンがよくしてるアレ。私よりもおっぱい大きいから、ネクタイしてたら苦しいのだろうか、じゃあサイズ違うのに変えろよとか思うケド、谷間で彼ぴっぴを誘惑しちゃったり○○○○しちゃってたりするから、わざとワンサイズ小さいの選んだのかもしれない。私よりおっぱいデカいとか、数少ない存在意義すらこの人に奪われてるよ...
「――汝、我様の呼び声に答えよ、外界から呼応せよ――《ブ ラ ッ デ ィ タ イ ム》......魔朱に溺れたグラス・ガヴナンよ、我様の凍てつく業火《ニ ヴ ル ヘイ ム・ウ ェ ル ダ ン》は如何であったかな？ 死せた物への手向けとして《コ ル ポ ・ デ ィ エ ン ト》の祭壇に捧げてやろう...っ、あむっ、もぐんっ！ パクンッ！」
.....................絶句。見慣れたけど絶句。アレが真性の中二病ですよ、ご覧下さい皆さん。
あの馬鹿、銀髪ツインテは《氷獄 メギド》私はクラスのエアーだけど、アイツは異物。別の惑星からやって来たから馴染めてないって物は言いようだけど、あんな感じのガチ黒歴史生産中なので相手にされてない。
血塗られたジカンとか言ってるけど、早弁してるだけじゃねーか！ 朝食食ってないのかよ！ グラスなんとかはハンバーグ、魔朱はケチャップです。馬鹿だから昼食なんて頭に無いのかもしれない。おっぱいが紫苑さんよりデカくって、多分Gカップくらい...！ チビの癖に胸だけ育ちがいいとか、お色気バトル漫画の登場人物みたい。その栄養が脳みそに回っていれば２+２くらいは答えられる様になるかもね。
ｱｲﾀﾀﾀﾀな黒マントを翻して、机の上で手を額に当てて片目を隠す中二ポーズを、朝っぱらからおっぱじめてるハイテンション。授業中は寝ているか（魔力回復の為）寒いセリフや詠唱呪文をノートに書いてるかどっちか。だって席が斜め前だから見えるんだもん...見たくないけど。ポーズの度におっぱいが揺れるから腹立つ...あのオッドアイはカラコンでしょうねｸｫﾚﾊ...自分には炎と氷を操る能力があるとか思い込んでいるらしい。ｱﾀﾀﾀﾀｯ
まぁ、コイツが居るから私は３０人中２９番目（当然メギドの馬鹿が最下層）だから、まだ自分を保てているのかもしれない。自分より下が居ると安堵するのは高校でも社会人になっても変わりないんだね。
